ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
「もう少し待つとはいつまで待てばいい?」
わざと意地悪く聞いてやる。どうせ、適当に言っているんだろうからな。
「……できれば一年。お願いします」
珍しい。具体的に期限を言ってきた。ならば、それに乗るまでだ。それ以降は否やを言わせない。こちらの選んだ娘と結婚させてやる。
「ほう。そうか、一年ね。なら一年待ってやる。それ以降は俺の言うとおりに見合いしろよ」
「はい。一年は俺のために女性を探すようなことしないで下さい。噂になるのも困ります」
どういう意味だ?黎は何か考えがあるんだろうとその時気付いた。普段女っ気のない息子が何か考えている。
父として興味がないわけはない。楽しみだ。