ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
「わかった」
そう言うと、嬉しそうにして黎は部屋を出て行った。
黎は父の了承を得て、着々と計画を進めていた。
まずは、神楽にメールを送って計画を打ち明けた。
そして、プロダクション上層部がそういったことに興味があり、賛同してくれるかどうかを探ってもらった。その返事をもらうのが今日だった。
あれから会っていなかった。久しぶりに一度、ゆっくり食事でもしようと話して、四月の頭には店を予約して連絡した。
仕事のはなしもあるので、人に聞かれることのない個室を準備した。
「やあ、忙しいのに悪いな。ロンドンではありがとう」