ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 「そうか。じゃあ、今度会ったら友達になれるように努力するよ。楽しみにして」

 「え?何それ……」

 「君が友達に俺を昇格してくれないと知り合いのままなんだろ?頑張るしかないよな」

 「……堂本さんは意地悪です。そんな言い方しなくても」

 「俺は意地悪じゃないぞ。友人にしてくれと言ったのに、まだ知り合いとか言う君が意地悪なんだ」

 ため息をつく百合の声がする。

 「わかりました。友人候補の堂本さん。それでは約束しましょう。いつがいいですか?」

 日にちを約束して、電話を切った。来週の金曜日。黎は楽しみでその日以降ウキウキし出した。
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