ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 十五分以上前について、席で彼女を待った。
 すると、時間ピッタリに彼女が現れた。

 キョロキョロしていたが、ウエイターに声をかけられたようで、席に案内されて歩いてきた。

 薄い黄色のワンピース。とても明るく見える。
 髪も今日は結んでいない。自然な感じだ。
 メイクも舞台のときのようではない。出会った時と同じ感ナチュラルメイクだ。その方が可愛い。

 「あ、遅くなりすみません」

 先に来ていた黎を見て、焦ったように話した。

 「いや、俺もまだ来たばかりだから気にしないで。君は時間通りだし……」

 ウエイターが彼女の椅子を引いた。百合はそこへ座った。
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