ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
 
 「これ。良かったら……」

 黎は花束を彼女に渡す。今日はこの間と違う花だが、色合いは同じ感じだ。
 白と黄色。今日のワンピースにピッタリだ。黎は嬉しかった。

 「え?そんな、リサイタルでもないのに、花束を頂くなんて……」

 「まさか、君のために買ったのに、いらないとか言わないよな?」

 上目遣いに黎を見た百合は、花をじっと見て彼を見た。

 「……ありがとうございます。この間と同じ色合い。でも花が少し違いますね」

 「うん。今日は黄色のワンピースだからぴったりだったね」

 「そうですね」
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