ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 百合は小さな声でふふふと笑い出した。

 「ええ。いいですよ。友達になりましょう。私音楽以外はあまり知らないので、つまらなくても許してくれますか?堂本さん」

 「もちろん。色々教えてあげよう。じゃあ、早速。お友達になった記念として今度は一緒に何か見に行かないか?」

 「え?お茶じゃなくて?」

 こてんと頭を傾け、聞いてくる。可愛い。また、見とれてしまう。こちらも笑顔で答えた。

 「そう、お茶もするけどね。丁度、東京の美術館で印象派の絵画展を来月までやっている。君はドビュッシーとかも得意らしいから影響を受けられていいんじゃないかな?」

 百合は驚いた。よく、そんなことまで知っているものだと……絵画は非常に勉強になる。曲の作られた時代や、作曲家と交流のあった画家もいるし、インスピレーションを得ることもあるのだ。
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