ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 「出資もゴールデンウィークまでには決まる予定だ。もし、決まればそれ以降のスケジュールはこちらも参入するかもしれない。よろしくね」

 「はい。お役に立てるなら協力します。だって堂本さんはお友達だから……」

 彼女が可愛く笑ってこちらを見ている。

 お会計をして外へ出ようとしたら雨が降っていた。
 困った様子の彼女を見て、彼は鞄から折りたたみ傘を出し、彼女の肩を抱き寄せた。

 びくっとした彼女は彼を下から見つめている。 上目遣いにまた黎はやられた。キスしたくなったが、こらえた。肩を抱き寄せひとつの傘に入ると、タクシーが拾えるところまで出た。

 一緒にタクシーへ乗って、彼女のマンションまで送り届けた。帰り道だといって安心させたが、彼女の家を把握したかったからだ。いったん、マンション前で自分も降りた。
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