ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
 
 「今日はごちそうさまでした」
 
 「これ。今日の記念に……」
 
 小さなリボンの付いた桐の箱を出す。
 
 「え?お花もあるのに、だめですよ」
 
 「知り合いから友達にしてもらうために準備していた賄賂だよ。無事友達になったけどあげる」
 
 百合は笑い出した。
 
 「……もう。賄賂は入りません。堂本さん、私の友達試験に合格しましたから」
 
 彼女の手を引っ張って、手のひらに乗せた。
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