ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 「あ、ごめん。俺の名前は堂本黎。どうぞよろしく」

 彼女に向かって笑顔を向けた。
 すると、顔を上げてこちらを見た彼女はまた赤くなった。
 やはり可愛い。美人なのだが、しゃべると構えたところがなくて、余計かわいらしさを感じる。

 「コンサートはいつ?ロンドンで?」

 たたみかけるように彼女に質問してしまう。

 「あ、はい。明後日の夜です。ロンドンの音楽ホールで。ロンドンの交響楽団と共演します」

 「あさってか……夜だよね?」

 「はいそうですね」
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