ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 「ええ、ドビュッシーに近いといわれている画家についても今日は見ることが出来たし、インスピレーションがわいたわ」

 「僕は、絵よりも君の横顔を見てる方が面白かったよ」

 「何それ!どういう意味?」

 「さあねー。とにかく、絵を見ながら何かずーと考え込んでるからさ。面白くって。たまに独り言言ってるし」

 彼女は両手で顔を覆い、首まで赤くしている。

 「ひどいわ。意地悪……」

 「いいじゃないか、ほらほら、美味しい料理が来たよ」

 「わー。美味しそうね。あら、これがあの絵のイメージなのかしら?」
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