ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 パンフレットとメニューの説明を見ながら二人で楽しく食事をした。

 その後は、少しウインドーショッピングをしたり、緑のある公園を歩いたり。

 ソフトクリームを食べたり。まるで、デートのようだった。

 「よし。猫を描こう」
 
 「いいわよ。負けないから」

 そう言って、ベンチの下に砂利があるので、木の棒を持ってきて、ふたりでそこに猫を描いてみる。 

 すると、彼女の猫はどう見てもクマみたいだった。

 「ほら見ろ。俺の方がうまいぞ。君のはクマさんだよ。そんなに丸々としていないだろ、普通……」
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