ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 「えー?そうかしら。でも、確かにあなたの猫うまいわね。得意じゃないとか言って、騙したわね。嘘つきは負けです」

 「なんだと?そっちこそ、負けたら言うこときく約束だぞ。約束破ったら嘘つきだ」

 ふたりで木の棒を振り回して、言い合っていたら、周りの人が呆れてみている。

 「……もう。わかったわよ。いいわ、ひとつだけ言うこときいてあげる。せっかく連れてきてくれたしね」

 「そうか。なら、これからは名前をお互い呼ぶこと。いい?」

 「……え?何それ」

 「はい。決定。百合さん、いいね?」

 「……わかったわ。えっと」
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