ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 「来週はオペラへ行こうか。うちのグループで協賛しているんだ。チケット取るよう友人に頼んであるから、取れたら行こうね。来週の土曜日の夜だよ。確か空いてたよね」

 「……空いてるけど。オペラって高いお席?いくらなの?お金出すわ」

 また、手を叩いてやる。

 「そういうのは、奢られておきなさい。今度お返しにたくさん俺だけのためにピアノ弾いてもらうからね」

 「そんなことでいいの?ホントに?」

 「ああ。それと演目はモーツァルトのコジファントゥッテだよ。今度のリサイタル、モーツァルト弾くって言ってただろ。また、お勉強しよう」

 彼女はお勉強という言葉に弱いと今回のことでわかっていた。ほら見ろ、すぐにうなずいた。
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