ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 「今日は俺に選ばせてくれる?その代わりに、ここで着る服と靴などは俺がプレゼントする」

 彼女は、また俺を睨み付けた。

 「もう、だめよ。いっつもプレゼントしてくれてばかりで。友達はそんなにプレゼントしないのよ。お誕生日だけなの」

 「うるさいな。俺の金なんだから、好きなものを着て欲しいんだよ。今日は俺の連れの日だぞ。言うことをきいて」

 「……もう。すぐそういうこと言うんだから。今日だけよ?いいわね」

 「はいはい」
 
 そう言って、いつものように手を叩いてやると静かになった。

 オレンジ色の服を選んだ。やはり似合う。明るい元気な彼女のイメージだ。鏡の後ろから一緒に覗いてやる。
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