ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 「ほら、似合うだろ?」

 「ええ。思ったよりもいいかもしれない。今度はリサイタル用にこういう色のドレス作ろうかしら」

 「そうだな。本当はこっちも似合うと思うけど……」

 「もう。だめよ。おしまい。これにしましょ。黎さんもいつの間に着替えたの。格好いいわね」

 彼女が着替えている間に俺も正装した。彼女に褒められると嬉しい。

 「よし。美男美女に変身したし、さあ、行くぞ」

 ふたりで笑いながら会場へ。手を繋ぐのも普通になり、彼女から手を繋いでくるようになってきた。

 休憩時間になった。彼女に確認したいことがあり、聞いてみた。
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