記憶喪失幼馴染は私への執着を隠さない
「これが…小さい頃の僕か」

感慨深そうに写真を見つめる拓斗、こういう時の顔は子供の頃から変わってないなぁ…

「記憶、戻りそう?」
「うーん、わかんない」
「そっか」

その後は私も写真を見て思いでに浸った。でも同時にもう私の好きな、好きだった拓斗は戻ってこないかもしれないという恐怖も私を襲った。

「泣きそうだよ、大丈夫?」
「ううん、無理そう」
「はい、ハンカチ」

私はまた泣き出してしまう。

「ごめん、僕のせいだよね」
「拓斗のせいじゃないよ…」

泣いている途中、彼はずっと私の側にいてくれた。それが嬉しかった。
何を言うでもなく、ただ私の側にいて、寄り添ってくれる。彼が居てくれるなら私はずっと泣き続ける事も出来るかもしれない。
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