記憶喪失幼馴染は私への執着を隠さない
「拓斗…」
「ダメか?僕は、今の僕は君に惚れている。これから君を本気で落としに行くよ」
「急だよ…」

本当に急に言われた告白。彼は彼なのだけど… 

「昨日、本当は襲ってしまいたかった。好きな女が自分の家で寝ているってだけで理性が働くなった。君はそれ位俺の中で大きな存在になっている」
「じゃあ…なんで襲わなかったんですか?犯罪だから?」
「違う、自分でもよくわかんないけど」

微妙な空気になってしまったので今日はここでお開きにする事に。

「できればまた会いたい。来週末って開いてる?」
「開いてるけど…」
「じゃあ買い物でも行こう、ダメ?」
「…いいよ」

正直迷った、このまま彼のペースに流されてしまうと本当に彼の事が好きになってしまう気がする。悪い事ではないし彼は彼なのだが…

「それじゃ、今日はもう帰るよ」
「うん、さよなら」
「またね」

彼が帰った後の部屋は、彼の品のいい匂いがかすかに香っている。

「匂いまで変わってないんだね…」

私はまた、1人になった部屋で涙を流す。
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