Rの恋鎖 〜ヤンデレ王子は溺愛中〜
……しかし、数分しても入ってくる気配が全くない。
不思議に思い、音を出さないようゆっくりカーテンの隙間から覗いてみると…
女子は一切こちらを見ることもなく、座ってなにやら作業をしていた。
ここに俺がいる事を知らないのか
"俺の事" 自体知らないのか
それとも全てを知った上で来ないのか⎯⎯。
ぼーっと眺めていると
彼女が急に立ち上がり棚の医療品を整理し始めた。
先程まで後ろ姿だったのが動いたことで横顔が少し見えた。
長く艶やかな黒髪から覗く藤色の瞳が
太陽の光を浴びてキラキラと輝く
その儚い雰囲気はひどく美しかった。
真面目な表情で作業を続ける姿に、つい目を奪われてしまいそうになり頭を振る。
とりあえず『彼女は大丈夫そうだ』と安心し、
再び横になるのであった。