エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
「なら一緒に行きましょう。俺の車に乗っていってください。送ります」


「仕事まで抜けさせてもらうのにそこまで甘えさせて貰うわけにはいきません」


「いいんです。俺も心配ですから一緒についていかせてください。それにほら、強がっていてもこんなに手が震えています」


 優しく包み込まれた両手は心は強がっていても身体は正直で、小さく震えていた。


「さぁ、急いで行きましょう」


 菜那は声に出すことが出来ずコクンと頷いた。多分声を出したら震えていたと思うから。


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