エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
「菜那さんの気持ちを待つって言っていたのにすいません。でも、我慢できないくらい早く貴女が欲しいんです。それに……自惚れかもしれないけれど菜那さんもきっと俺と同じ気持ちなんじゃないかと思ってしまうことが何度もあるんです」


「っ……」


 ぐっと引き寄せられ、喋れば吐息が擽る距離。車に打ち付ける雨の音がやたら大きく、鮮明に聞こえた。


「もう、待てない」


「あっ……んんっ……」


 頭を掻き抱かれ唇が重なった。唇を吸われ、凄く求められていることが伝わってくる。何もない平凡な自分をこんなにも感情を高ぶらせてぶつけてくれることが嬉しい。


 それに図星だった。本当は母親の前で恋人の振りをしたとき、不謹慎と分かっているのに自分も嬉しかった。返事をのばしているくせして、もう答えは最初から決まっていたのかもしれない。口の中に割り入ってくる舌を受け入れ自ら絡みついた。


 ――貴方が好きです。

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