エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
「蒼司さん……? っ!?」


 きつく抱き寄せられ、菜那の肩に蒼司の顔がうずくまる。


「凄く嬉しいです。俺と菜那さんの子供だなんて……幸せすぎて夢でもみているかと思ってしまいました」


 蒼司の熱い吐息が肩に溜まり、熱さが身体中に広がっていく。


「嬉しい、ですか……?」


「当たり前じゃないですか!」


 蒼司は菜那の両肩を持ち、力強い視線を向けた。


「菜那さんとの子供が欲しいと言ったでしょう。菜那さんと一緒に居られるだけでも幸せなのに、子供まで……本当に俺は幸せ者だ」


「私もです。とっても幸せです。蒼司さんに出会えて人生がガラッと変わりました。本当にありがとうございます」


「もう涙を流さないくらいに俺が菜那さんを幸せにしてみせますからね」


 サラリと頭を撫でられ、優しい視線を向けられる。菜那の大好きな蒼司の柔らかな表情だ。


「もう泣きませんよ。全部蒼司さんのおかげです。でも……」


「でも?」


「嬉しくて泣いちゃうことはあるかもしれません。それはいいですか?」


 ふふ、と意地悪な顔で小さく笑うと蒼司も一緒になって笑った。

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