エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
「いいんですか? 蒼司さんに作ってもらってしまって」


 申し訳ないな、と思い目の前に立っている蒼司を見上げる。


「いいんですよ。少しゆっくりしていてください」


「ありがとうございます」


 甘えてしまって悪いな、と思いつつも蒼司の作ったご飯が食べてみたいという好奇心に負けた。一体どんな料理を作るのだろう、考えるだけでワクワクする。


 換気扇が回り始め、ウイーンと動く電子レンジの機械音、まな板と包丁がぶつかる音、沢山の音に耳を澄ませながら料理を待っているのも案外楽しい。好きな人が作ってくれるご飯だから尚更だとは思うが。 


 ソファーからキッチンはよく見える。いつもこのソファーで蒼司が仕事をし、菜那がキッチンに立って蒼司のことをチラチラと見ていたのに今日は逆だ。菜那がソファーからじーっと蒼司のことを眺めている。けして手際がいいとは思えないれど自分の為に頑張ってくれている蒼司を見ていると胸が熱くなった。

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