エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい

「あの、蒼司さん、いいんですか？　町田さんと久しぶりの再会なんですよね？」


「ん？　愛羅と二人で出かけてほしかったですか？」


「……意地悪ですね」


　少し意地悪な顔で笑う蒼司に菜那は口を尖らせた。


「ははっ、愛羅は年も離れてるし、妹みたいな存在ですから気にしなくていいですよ」


　蒼司はそう言うが少し羨ましいと思ってしまった。愛羅と蒼司の関係はとてもフランクで蒼司が自分に対する態度とはまた違うものだったから。蒼司は菜那に対してとても優しい。大切な宝物を包み込んでくれるように温かい。だからか、少し硬さを感じる時もなくはない。


「菜那さん、そろそろ部屋で休みましょう。後で俺もスピーチしないといけないんで今のうちに休んでおきたいんです」


　硬さを感じたって、やっぱり蒼司はとても優しい。俺も、と言葉を付け足して、菜那に罪悪感を抱かせないよう気配ってくれているのが分かる。