エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
「あ、じゃあお手洗いに行ってからでもいいですか? どんなトイレなのかも見てみたくて」


「ははっ、お手洗いもデザインに凄く凝ってるんで是非。俺も行ってきますんで」


「じゃあ、外で待ち合わせましょう」


 菜那と蒼司は一旦分かれてトイレに入った。


「わぁ……」


 一人だというのに思わず感動の声が漏れる。トイレの中もぬかりなくヨーロピアンテイストのインテリアに温かいオレンジ色の照明が心を落ち着かせてくれる。たくさんの個室も一つ一つが広く、個室の中にメイク直し用の鏡と手洗い場が付いていた。


(これも蒼司さんが考えたんだ……凄いなぁ)


 高級ホテルならではの特別感にトイレまでしっかりとこだわりを感じる。なんだかちょっと用を済ますのには緊張してしまうが身なりを整えて個室をでると「ねぇ」と呼び止められた。


「あ、町田さん……」


 スラリとした足をクロスにして立っていた愛羅が菜那を見下ろすように立っていた。

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