エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
 その間に洗濯機を回し、インテリアなどに軽くハンディモップをかけているとあっという間に六時四十五分になっていた。フライパンに火をかけ、じっくりと焼いていると香ばしい匂いがリビングに漂い始める。その匂いに釣られるかのようにふらふらと蒼司が起きてきた。


「菜那さん、おはようございます。凄くいい匂いがしますね」


「今日は少し早く目が覚めてしまったので、ちょっと豪華な朝ごはんにしました」


「美味しそうです。急いで顔を洗ってきますね!」


 寝起きでふわついていたはずの蒼司がシャキンと背筋を伸ばし、洗面所に急ぎ足で消えていった。


「ふふっ、パパは意外と食いしん坊なんですよ」


 なんてお腹に話し掛けながら料理をダイニングテーブルに並べた。向かい合って朝食を食べ、美味しいと頬を緩ます蒼司の表情が嬉しい。菜那もつられて笑みをこぼした。

 
 ほのぼのと、幸せな朝を噛みしめる。食べ終えた食器を片した後、蒼司の淹れてくれたルイボスティーを飲みながら窓際に立ち、菜那は綺麗な青空を眺めていた。

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