エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
「なんかぐるぐる言ってるな」


「……多分それは私のお腹の音かもしれません。朝御飯を消化中、かな?」


 顔を見上げた蒼司と目が合い、お互いにじわじわと笑いが込み上げる。


「はははっ。じゃあ、仕事に行ってきますね」


「もうっ、いってらっしゃい」


「いってきます」


 ちゅっと音を立てて唇が触れるだけのキスを交わし、蒼司は玄関を出て行った。


「よし。さっさと終わらせちゃおうっと!」


 乾燥まで終わった洗濯物を畳み、掃除機をかけているとインターホンが鳴った。


「珍しい。誰だろう?」


 この部屋の番号を知っている人だとは思うけれど菜那が一緒に住み始めて人が訪れてくるのは初めてだ。


「あっ……!」

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