エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
「それは無理です。私は蒼司さんから離れる気は全くありません。彼の役に立てていないかもしれないけど、私は彼が好き。愛してるんです」


「私だって! 蒼司くんが好きなだけなのに!」


 愛羅は勢いよく立ち上がり、菜那の両肩に手を掛けた。グッと握られ、肩に痛みが走り菜那は顔を歪める。それでも逃げることはせずに愛羅から視線を逸らすことはなかった。蒼司の事が好きだと強い意志を込めて愛羅を見続ける。


「私だって蒼司さんが好き。今はまだ役に立ててないかもしれないけどそれでも、絶対彼の力になってみせる。彼の傍にいたいんです」


「このっ……ッ!」


 真の太い声で言いきると、愛羅の右手が空気を切るように上に振りあがった。瞬時に叩かれると感じた菜那は咄嗟に目を瞑り、お腹をかばうように腰を丸くする。

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