エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
「菜那さん、愛してる」


 またチュッと唇が触れた。


「私も、蒼司さんのこと愛してます」


 菜那の小さな手が蒼司の両頬に触れ、顔を上げてキスをした。何度も何度も愛してると小さなキスを繰り返す。


「私には何のとりえもないけど、蒼司さんの為に出来ることは何でも頑張ります」


 するりと小指に蒼司の小指が絡みつく。


「頑張ってくれるのは嬉しいですけど、一人で頑張りすぎないこと。約束しましたよね?」


「……しました」


「でもまぁ、俺も菜那さんの為に頑張るからお互い様ってことでいいですね」


 こくんと頷くと絡まった小指が蒼司の口元に近づき、柔らかな唇が触れる。


 菜那の大好きな蒼司の手と、艶やかな唇に触れられて、心が反応したと同時にお腹の子も反応して思わず吹き出して笑った。一心同体ってこういうことを言うのかな。なんてことを思いながらまた唇が重なった。


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