エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
2.ずっと会いたかった
ゴポゴポと火にかけた水が音を立てて熱湯に変わり、火を止める。ゆっくりと茶葉の入った急須にお湯を注いだ。もう夜中の一時だというのに蒼司の自室からは明かりが漏れている。ここ最近、蒼司は忙しそうでリモートでの打ち合わせも多く、自室にこもっていることが多い。湯呑に入れたお茶を持ち、菜那は蒼司の部屋の扉をトントントンとノックした。
「はい」
扉越しに聞こえる蒼司の声は疲れているように感じる。
「失礼します。お茶を持ってきたので一旦休憩したらどうですか? 一緒に蒼司さんの好きなカステラも持ってきました」
そっとデスクの端に置くと蒼司は着けていたシルバーの眼鏡を外し、ぐっと背筋を伸ばした。
「ありがとうございます。ちょうど疲れたなぁって思ってたんです。でも、菜那さんこそ遅い時間まで……俺に気を使わないで寝てください」
「いいんです。私もお腹が苦しくてなかなか寝付けなかったので。一緒に一休みしましょう」
蒼司は優しく微笑み、菜那の髪を撫でた。
「髪が、出会った頃よりも伸びましたね」
「……長い髪はお嫌いですか?」
「まさか、とても綺麗ですよ。艶々でずっと触っていたいくらいです」
くるりと指に髪を絡めて、蒼司の唇が触れた。
「はい」
扉越しに聞こえる蒼司の声は疲れているように感じる。
「失礼します。お茶を持ってきたので一旦休憩したらどうですか? 一緒に蒼司さんの好きなカステラも持ってきました」
そっとデスクの端に置くと蒼司は着けていたシルバーの眼鏡を外し、ぐっと背筋を伸ばした。
「ありがとうございます。ちょうど疲れたなぁって思ってたんです。でも、菜那さんこそ遅い時間まで……俺に気を使わないで寝てください」
「いいんです。私もお腹が苦しくてなかなか寝付けなかったので。一緒に一休みしましょう」
蒼司は優しく微笑み、菜那の髪を撫でた。
「髪が、出会った頃よりも伸びましたね」
「……長い髪はお嫌いですか?」
「まさか、とても綺麗ですよ。艶々でずっと触っていたいくらいです」
くるりと指に髪を絡めて、蒼司の唇が触れた。