エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
「そうですよね。そうだよ、うん、そうですよ! こんなに側に家事のスペシャリストがいるんですもんね。菜那さんにアドバイス、もらってもいいですか?」


「もっ、もちろんです! なんでも聞いてください!」


 不安で曇っていた表情がぱぁぁっと晴れる。


「頼もしいな。じゃあ、ちょっとこれ見てもらってもいいですか?」


 菜那の手を引き、デスク上にあるパソコンの画面を見せた。蒼司が設計している家の間取り図を見るとこうしたい、ああしたい、という欲がむくむくと湧き上がってくる。


「この洗面所には棚があれば便利だと思います。あとこのキッチンのこの幅は広くて解放感はあると思うんですけど一般家庭ならもう少し収納スペースがあった方が使いやすそうだなと思います。奥様が料理を好きな方だったら尚更キッチン用品をしまう場所はたくさんあっても困りませんから」


 ペラペラ話す菜那に蒼司は「うんうん」「なるほど」「いいですね」と相槌を打ってくれている。


 ――やりたいこと、見つけたかもしれない。

< 202 / 220 >

この作品をシェア

pagetop