エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
 家事しか能のない自分に出来ること、家事を生かして蒼司の力になれること、まだ具体的には思いつかないけれどなんだか胸がわくわくしてきた。


「どうでしたか……?」


「凄く助かりました。やっぱり人の意見はとても参考になりますね。菜那さんのおかげでいい方向に考えがまとまりそうです。またアドバイスもらってもいいですか?」


「もちろんです! いつでも聞いてくださいっ!」


 パチンっと両手を合わせると、同時にずきっとお腹が痛んだ。その瞬間、バシャッと足の間から水が流れ落ちた。


「っ……!?」


 も、漏らした……?


 臨月でお腹が大きくなってからトイレがかなり近くなっていたから。


「ごっ、ごめんなさいっ……私、私っ……」


「菜那さん、大丈夫だから落ち着いて」 


 慌てる菜那に対して蒼司は落ち着いていて、そっと菜那を抱き寄せた。

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