エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
 病室を出て、寄り道せずに家に帰る。


「そういえば蒼司さん、病院に着く前の話ってなんですか? ずっと気になっていたんです」


 ベビーベッドで小さな寝息を立てる和香那にそっと布団を掛けてキッチンに立つ蒼司の元へ向かった。蒼司は菜那のお気に入りのルイボスティーを淹れてくれている。


「あぁ、そうですね。じゃあお茶がもう入れ終わるのでソファーで座って待っててください」


「分かりました。その、私も話があるので……聞いてもらえると嬉しいです」


「菜那さんも? 分かりました。すぐに行きますね」


 菜那はこくんと頷きソファーに座りながら蒼司を待った。


「お待たせしました。じゃあ先に菜那の話から聞かせてください」


 ギシッとソファーが軋み、肩の触れる距離に蒼司が座る。

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