エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
「え……蒼司さん?」


 すっぽりと蒼司の腕の中の菜那は蒼司の言ういいタイミングのことが何のことなのか全く分からず、首を傾げる。不思議がる菜那から身体を離し、蒼司は真っすぐに菜那を見つめた。


「俺と共同で自分たちの家を建てませんか?」


 ……家?


「えっと……それはどういうことでしょうか?」


 きょとんと瞳を丸くする菜那の頭に蒼司の手が伸びた。柔らかく髪を撫でられ、愛おしそうに見つめてくるものだからドキドキと心臓が騒ぎ出す。


「今住んでるマンションじゃなくて、一軒家に住みませんか? 広い庭にも憧れますし、なにより今のマンションには子供部屋がないでしょう。これから兄弟だって増えるかもしれないし……だから、一緒に建築しませんか? 菜那さんの言う家事のしやすい理想の家を作り上げたいんです」


「理想の家……」


 その言葉にワクワクした。 

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