エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
4.運命の再会
首がもげるんじゃないかと思うくらい上を向いてもてっぺんが見えない高層マンション。明らかに裕福層が住んでいるだろうマンションの目の前に菜那は立っていた。
片手には大きな鞄。沢山の掃除用品が入っている鞄だ。明らかに周りの風景と合っていない。黒のスラックスに白のワイシャツ、黄色いカジハンドと書かれたエプロンを身に着けた菜那だけが浮き上がっているように感じてしまう。恥ずかしさを感じ、羽織っていた黒のダウンのチャックを閉めた。
(ここ、だよね……?)
何度もスマホに表示されている住所を確認しているが一字一句間違っていない。
(やっぱり合ってる。ここなんだ……)
ふぅっと深呼吸をし、ロビーにある呼び出し番号を押そうと人差し指を伸ばした。
「っ……」
全く違う現場のばずなのに、昨日の近藤の家での出来事がフラッシュバックして伸ばした指が震えだす。
「なんでっ……」
指を引っ込め、胸の前で両手を握りしめる。不幸な出来事が重なりすぎてトラウマになるには十分だったようだ。
「仕事だから。大丈夫、大丈夫……」
優しいお客様もたくさんいた。だから、大丈夫。自分に何度も何度も言い聞かせ、もう一度インターフォンに指を伸ばした。
片手には大きな鞄。沢山の掃除用品が入っている鞄だ。明らかに周りの風景と合っていない。黒のスラックスに白のワイシャツ、黄色いカジハンドと書かれたエプロンを身に着けた菜那だけが浮き上がっているように感じてしまう。恥ずかしさを感じ、羽織っていた黒のダウンのチャックを閉めた。
(ここ、だよね……?)
何度もスマホに表示されている住所を確認しているが一字一句間違っていない。
(やっぱり合ってる。ここなんだ……)
ふぅっと深呼吸をし、ロビーにある呼び出し番号を押そうと人差し指を伸ばした。
「っ……」
全く違う現場のばずなのに、昨日の近藤の家での出来事がフラッシュバックして伸ばした指が震えだす。
「なんでっ……」
指を引っ込め、胸の前で両手を握りしめる。不幸な出来事が重なりすぎてトラウマになるには十分だったようだ。
「仕事だから。大丈夫、大丈夫……」
優しいお客様もたくさんいた。だから、大丈夫。自分に何度も何度も言い聞かせ、もう一度インターフォンに指を伸ばした。