エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
 もしかして蒼司にとっては誰かを助けることは当たり前なのかもしれない。たまたま自分が居合わせて助けてもらえた。ただそれだけの事だったのかもしれないと思えてくる。


「さ、頑張ろう」


 それなら、それでいいじゃないか。蒼司はとても優しい人。誰にでも優しい人なんだ。いいことのはずなのに、胸がもやっとする。今日の曇り空のようにどよんと薄黒いものが胸に広がった。

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