エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
(そういえば、職業はなんなんだろう? でもきっといいとこのエリートなんだろうな。じゃなきゃこんな豪邸に住めないよね)


 ゴミの処分はあっという間に終わり、リビングの掃除に取り掛かる。濡れた布巾でほこりの被ったインテリアを次々と拭き上げ、仕事をしている蒼司を考慮して床は雑巾で拭き上げた。巾木にもホコリが溜まっていたので雑巾の方がちょうどよかったというのもある。


 時々、蒼司からの視線を感じたが、振り向いたら目が合ってしまいそうなのでとにかく仕事をした。それに仕事に夢中になれば余計なことは考える必要がくなるから。


(でも、本当にオシャレなお家だなぁ……)


 あまり高級マンションの依頼はカジハンドには来ず、普段は一人暮らしの老人のお宅などの一般家庭が多い。だからあまり感じることがなかったが雲泥の差とやらを肌で感じた。自分と彼は住む世界が全く違うのだと。

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