エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
「っ……」


 大きな身体が菜那の泣き震える小さな身体をきつく抱きしめている。


「何があったかは分からないけど、我慢しないで泣いていいんですよ」


 自分を後ろから包み込んでくれている蒼司が耳元で優しく囁いた。


「貴女はよく頑張ってます。汚かった俺の部屋をこんなにも綺麗にしてくれて、美味しいご飯を作ってくれて、少なくても俺は菜那さんにとても感謝しています」


「っ、私、う、宇賀谷さんの前で泣いてばっかりで……ごめっ、ごめんなさいっ……まだ仕事中、なのにっ……」


「気にすることなんてありません。でも、泣くのは俺の前だけにして」


 ――え?


 くるりと身体を動かされ、涙でぐしゃぐしゃになった瞳が蒼司と真剣な視線と絡み合った。


「宇賀谷、様……?」


「こんなにも可愛くて、無防備な姿、他の男に見せたくない」


「なっ――」


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