エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
(宇賀谷様、大丈夫かな……?)


 ちらりとバレないように横目で見ると、前髪を掻き上げ、蒼司は大きく溜息をついている。さりげなく見たはずなのに一瞬でばれてしまい、蒼司と目が合った。心臓を射抜かれてしまいそうなほどの鋭い目つきに思わず肩がビクッと震える。菜那は握っていた布巾を強く握りしめた。


「菜那さん」


 あっという間に菜那の目の前に立つ蒼司はとても大きく見えた。けれど菜那を捉える瞳の鋭さは消えて、真剣で真っすぐな瞳が菜那を捉える。


「はい……、えっ?」


 布巾ごと両手を握られ、蒼司の大きな手に菜那の小さな手はすっぽりと包み込まれた。


「菜那さん、俺と一緒にパーティーに参加してもらえませんか?」


「はい……?」


 パーティー? 一緒に? 誰と誰が?


 蒼司の言葉がなかなか理解できずにきょとんとしていると「菜那さん」と力強い声で名前を呼ばれてハッと我に返った。

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