エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
「返事こないなぁ」
スマートフォンをじぃと眺めるが樹生からの返事はまだ来ない。高校の同級生だった樹生とは五年前の同窓会で再会してから交際に発展した。最近は樹生の仕事が忙しくてなかなか連絡が返ってこないこともあるが社会人だからしょうがない。それは理解しているつもりだ。でも……何時間もスマートフォンを見ないってなかなかないよね? とも思ってしまう自分がいる。
「こんなんで結婚なんてできるのかな……」
思わずポロリと不安が口からこぼれる。樹生との間で結婚というワードは何度か出てきた。それでも早く結婚したい! とは仕事が忙しい樹生に催促するような言葉を掛けるのは菜那には至難の業だった。
けれど菜那はできれば早く結婚したいと思っている。二十六歳、晩婚化が進んでいる今の時代は年齢的には遅くはない。
菜那の早く結婚したい一番の理由は闘病中の母親を早く安心させてあげたいという想いだ。最近の母親の口癖は「早く結婚してほしい。そうすればお母さんも安心だから」と見舞いに行くたび耳にタコができるほど聞かされる。
「……まだ返事こないや」
スマートフォンの画面を見て小さなため息が漏れた。
スマートフォンをじぃと眺めるが樹生からの返事はまだ来ない。高校の同級生だった樹生とは五年前の同窓会で再会してから交際に発展した。最近は樹生の仕事が忙しくてなかなか連絡が返ってこないこともあるが社会人だからしょうがない。それは理解しているつもりだ。でも……何時間もスマートフォンを見ないってなかなかないよね? とも思ってしまう自分がいる。
「こんなんで結婚なんてできるのかな……」
思わずポロリと不安が口からこぼれる。樹生との間で結婚というワードは何度か出てきた。それでも早く結婚したい! とは仕事が忙しい樹生に催促するような言葉を掛けるのは菜那には至難の業だった。
けれど菜那はできれば早く結婚したいと思っている。二十六歳、晩婚化が進んでいる今の時代は年齢的には遅くはない。
菜那の早く結婚したい一番の理由は闘病中の母親を早く安心させてあげたいという想いだ。最近の母親の口癖は「早く結婚してほしい。そうすればお母さんも安心だから」と見舞いに行くたび耳にタコができるほど聞かされる。
「……まだ返事こないや」
スマートフォンの画面を見て小さなため息が漏れた。