エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
「その、今日のパーティーはいったいどんなパーティーなんですか? 私詳しいことも聞かずに受けちゃいましたが、恋人役ってのは……?」


「今日のパーティーは父親の会社の創立記念パーティーなんです。行くつもりはなかったんですけど、恋人を連れてこないとお見合いさせるって言われてしまって。でも俺には心に決めた人がいて、その人と、結婚したいと思ってるんです」


 すぐに電話の時に話していたことを思い出した。やはり蒼司には好きな人がいるんだ。その人と結婚するための手助けを自分がする、ということだろうか。何度も助けてくれた蒼司の役に立てるのなら……


「分かりました。恋人のふりをすればいいんですね」


 偽の恋人役くらいどうってことない。蒼司が幸せになるための手助けになるのなら。

 そう思っているはずなのに、熱くなっていた身体はまるで雨にうたれたように冷たくなっていった。


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