エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
「ん、美味しい。レモンの味がさっぱりしていていいですね」
また蒼司がつまみ食いをしたようだ。横目でチラッと覗くと口をもぐもぐさせている。
(また食べてる。でも、気に入ってもらえてよかった)
ふふっと笑みがこぼれた。
「本当に美味しいです。どうしてこんなに俺好みの味なんでしょうか?」
「え? ちっ……」
もわんとした熱気を頬に感じ、横を向くと思わずつるっと皿を落としそうになった。近い。蒼司が腰を曲げ、漆黒の艶やかな瞳で菜那の顔を覗き、捉えている。
「貴女の全てが俺好みなんです」
ようやく落ち着いてきたのに。また、心臓が壊れそうになる。息をするのを忘れてしまいそうになるくらい、蒼司の瞳から目が逸らせない。
「あの、私……」
どう返せばいいのだろうか。なんの言葉も出てこない。私もです、は違うし、私は好みではありませんも違う。早く答えを返したい。でなければ見つめられ続け、確実に酸素不足で倒れそうになるに違いない。けれど糸のように絡み合った視線に捕まり、答えを解くことができずにいる。
(どうしよう……何か言わないと……)
また蒼司がつまみ食いをしたようだ。横目でチラッと覗くと口をもぐもぐさせている。
(また食べてる。でも、気に入ってもらえてよかった)
ふふっと笑みがこぼれた。
「本当に美味しいです。どうしてこんなに俺好みの味なんでしょうか?」
「え? ちっ……」
もわんとした熱気を頬に感じ、横を向くと思わずつるっと皿を落としそうになった。近い。蒼司が腰を曲げ、漆黒の艶やかな瞳で菜那の顔を覗き、捉えている。
「貴女の全てが俺好みなんです」
ようやく落ち着いてきたのに。また、心臓が壊れそうになる。息をするのを忘れてしまいそうになるくらい、蒼司の瞳から目が逸らせない。
「あの、私……」
どう返せばいいのだろうか。なんの言葉も出てこない。私もです、は違うし、私は好みではありませんも違う。早く答えを返したい。でなければ見つめられ続け、確実に酸素不足で倒れそうになるに違いない。けれど糸のように絡み合った視線に捕まり、答えを解くことができずにいる。
(どうしよう……何か言わないと……)