偽恋人の恋愛事情
「会長…まさか、カッターシャツまで…破かれたんですか」
破かれないよ
「は、破廉恥なっ…」
だからちゃうて
「これは借り物です。カッターシャツも鞄もちゃんと家にありますから」
ため息混じりで答えると2人が目を丸くする
「借り物…って…それ男物ですよね」
え
「ボタンの向きが違うもんね」
げ
「そういえば鞄も男っぽいかも」
まあ…楓くんのだし
2人は1度目を合わせて、再び私を見る
「もしかして楓くんのですか?」
…
な、なんでそんなにキラキラした目を向けるのよ
「…ま、まぁ…そんな感じですかね」
…
は、は、はっっっず!
恥ずかしい!
何これ!
「きゃぁぁぁ!やっぱそうだ!彼氏だもん」
「彼氏だもんね!」
う…うぅ
「会長っ照れていらっしゃいまして!?」
なんなのその微妙な敬語は
「可愛いです会長!」
あーもう
「やめてください」
…あれ?
というか
「ふ、2人は、楓くんのことが好きなんじゃないですか?」
だったら前みたいに嫌な感じになるんじゃ
「えー?まぁ、好きっちゃ好きだけど、かっこいいから好き〜みたいな理由だったし」
「冷静に考えて私たちが楓くんの彼女になれるとは思えないしー?」
えーなにそれ
「アイドル的な?そんな感じです」
アイドルだぁ?
あれが?