偽恋人の恋愛事情


「てか逆にさ、どこぞの馬の骨なんかに付き合われるくらいなら会長の方が全然良いよね」

「それは言えてる。キャピキャピした量産型の女に盗られるくらいならね」


それは

「あなた達から見て、私は、楓くんにちゃんと相応しい彼女になれていると…いうことですか?」



2人はきょとんと私を見る


「あったりまえじゃない!美人で成績優秀でかっこいい会長が不釣り合いなわけがないじゃないですか!」



「むしろ楓くんの方が頑張んないとってくらいじゃない?」

「言えてる〜」


……そっか
見えてるんだ

ちゃんと、恋人に
ちゃんと彼女をやれてるんだ

よかった


「あー!会長乙女の顔してる!」

は?

「本当だ!超可愛い!」



「会長いつもお堅い感じだけど絶対そっちのがいいよ!」

…それ、楓くんも似たようなこと言ってた

「いいね〜!恋する顔だね〜」


………は!?


「恋!?」

ガタッと席を立つ

2人がビクッと肩を振るわす


「い、今なんと…」

「え?だーかーら、恋する乙女だねって話!」


恋…する

乙女…


おそらく熱を持って赤くなっていたであろう顔がだんだんと青ざめていく


「会長?」
「え、なに?具合悪い?」


これは……まずいぞ




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