偽恋人の恋愛事情


「会長〜」
「どこ行くんですか〜」


嘆く2人を背にズカズカと教室を出て五里霧中て歩く

どこへ向かってるんだ私は
いやいい、そんなことあとで


まずいまずいまずい

何がまずいって…自覚があることだ


『恋する乙女だねって話!』


周りから見て私が恋する乙女に見えてしまうということは

それは…非常にまずいことだ


確かに恋人は好き同士がなるもの

だけどそれは一般的な恋人の場合だ

それに一般的な恋人だって年がら年中、好きを溢れさせているわけではない


私たちはクールなカップルでなければならない

学校1の人気者である彼と、生徒会長である私とが付き合っている

それはそういうことだ


クールで冷静で、何事も風のように受け流すような大人なカップル

そうでなければならない

なぜなら彼は、私にそれを求めているから



確かに昨日今日はこの関係としてやってはいけないことをやってしまった

彼は嘘でも恋人だから頼って良いと言ってくれたが

私たちはビジネスカップル

ああやって弱いところを曝け出すのは違う



そして何より…この関係で1番の御法度は

恋心を持つことだ


彼はそれから逃げるために私のところへ来たのに

私が彼に恋をしてしまったら全部水の泡だ

彼はまた同じ悩みを抱えるだろうし

私は……

私、は…


私はなんだ?


私に、この関係を継続できなくなることで起こりうるデメリットなんてあるか?

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