偽恋人の恋愛事情



……ところでここどこだ


当てもなく歩いたせいでどこに来たかわからなくなった

階段の踊り場にいる

どこの階段だ

どこだここ


「あれ、会長?」

え?

「あ、佐賀くん」

「どうしたのこんなとこで」

こんなとこ

「ここどこですか」

「え?屋上に続く階段だよ」

えー


珍しくちゃんと制服を来た佐賀くんが居た

きょとんと私を見ている

屋上まで登って来たのか2階から


「大丈夫?顔青いけど」

「大丈夫です」

「息切れしてるけど」

すごいスピードで階段登ってきたのか私

我ながらすごいな

「平気です」

「ふーん?」


戻ろう

予鈴が鳴る

「戻ります」

「ちょっと待ってよ」

え?

「せっかくだから行ってみたら?屋上。行ったことないでしょ」

…ないけど

「ほら」



ぼけっとしていた私の腕を掴んで引っ張る

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