偽恋人の恋愛事情
だかしかしおかし
まずその風の噂がどこから流れ出たのか知らんが
私は別に恋愛ごとに興味がないわけではない
いや、なんなら少女漫画を読みあさるほど胸キュンなラブラブストーリーは大好きだ
いつかは自分にも白馬の王子様が現れるとつい最近まで信じていた
…口が裂けても言わないけど
だけどまあ恋愛に興味がないというレッテルは『品行方正な優等生』を演じる上でふさわしいものな気がする
ここは乗っておくべきだ
それにこう築き上げてきた私のイメージに胸キュンラブラブ少女漫画なんて似合わない
…という話は別で
問題はこの男の彼女になるということである
この男の言い分は理解した。
確かにまあ、うん…わからなくはない
それに、恋愛ごとに興味がない設定になっている私に頼みに来るというのもそれなりに筋が通っている
興味がない=恋愛的好意は迷惑
とでも言いたいのだろう
利害の一致
というところか
んー…
「それは、私でなければいけないのですか?」
「え?」
「他校とか、別の知り合いとか、存在しないところに作ってしまえばいいのでは?」
「ごめんって言っても粘ってくるような女子たちだぞ?嘘なんかついてたらすぐに見破られる」
「でも私と付き合うと言うのも結局は嘘ってことになりますよね」
「だけど実体はある。それに他校に彼女がいるって嘘をつくのは実践済みだ。全く効果なかったけど」
え、えぇ…