偽恋人の恋愛事情



…と言うことである。


あの時は怒りと混乱のあまり取り乱してしまった

なんと情けない

恋愛ごとに疎いと言うのが…まあ、図星突かれてたんだろう


でも…ねぇ。
これは解決策なのだろうか

余計に注目を浴びていたし、噂の的になったって仕方がないと思うんだけど

だけど私が了承してしまった事実には変わりない

自分の言動には責任を持つべきだ


登校を終え、自分の席に座って盛大なため息をつく

よかったのだろうか

安易に答えを出してしまったのは間違っていたかもしれない…

やっぱり断った方がよかったかも



「ねぇねぇ」



悶々と自分の世界で頭を抱えていると聞きなれない声に呼ばれる


「はい?」

「おはよー会長サン」

えっと…
同じクラスの女性2人
確か

「おはようございます。坂下さん松本さん」


この2人はよく一緒にいるところを見かけるけれど
私とは特に接点がない

明らかにアイロンで巻いたであろうおしゃれなカーブを描く栗毛色の髪が特徴的な坂下さんと

明らかにメイクをしたであろう瞼がほんのりピンクに染まっている小柄で黒髪が特徴的な松本さん

2人とも校則違反ですよ


「なんでしょう」

何か言いたげな2人にいつも通り品行方正な会長で向き直る

「あのさぁ、今朝楓くんと一緒に来てたよね?」

…え

「2人って付き合ってるんですかー?」


こ、これは…


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