偽恋人の恋愛事情
な、な、なんなんだ
このゾワゾワする感覚は
恐怖で足がすくむ感覚は
これも知らない事
でも、楓くんが教えてくれるような温かい知らないことではない
もっと本能的に、体が危険信号をあげている
ドタンバタンとリビングから暴れている音が聞こえる
楓くんに言われた通り、彼に用意してもらった私の部屋に駆け込み、中から鍵をかけた
佐賀くん…だったよね?
佐賀くんの皮を被った何かだったりするの?
いや…でも思えば
前から佐賀くんは少し変わっているところがあった
急に雰囲気が変わったり、不気味な笑い方をしたり
そんな気にする事じゃないと思っていたけど
あれらは全て佐賀くんの隠しきれていない本性が出ていたんだ
もし…楓くんがいなかったら、私はどうなっていたのだろう
最悪の想像をしてブルっと震える
鳥肌が立つ
急に不安になって、敷布団の上で体操座りをしてうずくまった
「…楓くん」