偽恋人の恋愛事情
確か…佐賀くんが怖いことになって
楓くんが助けてくれて
いっぱいいっぱいになって
…で
えっと
確か…だ、抱きしめてくれて
抱きしめ返しちゃって…
…そうだ
私が
1人は嫌だとか…言ったんだっけ
それで楓くんが落ち着くまでここにいるよって部屋にいてくれて
それで…
そのまま…多分、2人揃って寝落ちした…という感じだろう
ということはつまり…
戦犯かましてるのは…私だ
「雪音?」
「す、すみませんでした」
布団の上で綺麗な土下座をかます
「え?」
「私が駄々こねたせいです」
「あー…そういやそんな感じだったね」
「ほんっとうにごめんなさい」
「いやいいよ、昨日のあれじゃあ仕方ないことだし」
うぅぅ
赤くなって顔を上げられない私をクスリと笑う楓くん
「雪音、おはよう」
…
「おはようございます、楓くん」
ゆっくり赤い顔をあげれば、寝起きなのに爽やかな楓くんがニッと歯を見せて笑った
「昨日はありがとうございました」
「…こちらこそ」
……
てっ
照れるっ!
でもどうやら照れているのは私だけではないようで
楓くんも目を逸らして口を一文字に結び、指でこめかみを掻いた