偽恋人の恋愛事情



確か…佐賀くんが怖いことになって

楓くんが助けてくれて

いっぱいいっぱいになって


…で

えっと


確か…だ、抱きしめてくれて

抱きしめ返しちゃって…


…そうだ

私が


1人は嫌だとか…言ったんだっけ


それで楓くんが落ち着くまでここにいるよって部屋にいてくれて

それで…

そのまま…多分、2人揃って寝落ちした…という感じだろう


ということはつまり…

戦犯かましてるのは…私だ



「雪音?」

「す、すみませんでした」

布団の上で綺麗な土下座をかます

「え?」

「私が駄々こねたせいです」

「あー…そういやそんな感じだったね」

「ほんっとうにごめんなさい」

「いやいいよ、昨日のあれじゃあ仕方ないことだし」


うぅぅ

赤くなって顔を上げられない私をクスリと笑う楓くん


「雪音、おはよう」



「おはようございます、楓くん」

ゆっくり赤い顔をあげれば、寝起きなのに爽やかな楓くんがニッと歯を見せて笑った


「昨日はありがとうございました」

「…こちらこそ」


……


てっ

照れるっ!


でもどうやら照れているのは私だけではないようで

楓くんも目を逸らして口を一文字に結び、指でこめかみを掻いた


< 152 / 296 >

この作品をシェア

pagetop