偽恋人の恋愛事情



男子の家で一週間も過ごし

男子とハグして

男子と同じ布団で目を覚ますなんて

城木雪音史上前代未聞の出来事すぎて頭がパンクする


リビングのソファの上で朝食を作ってくれている楓くんの作業音を聞きながら頭を抱えた


私たちはご飯当番を決めていて1日ごとに交代で作ることにしている

今日は楓くんの番なのだ

私も人並みに料理はできるけど、楓くんの料理は本当に美味しい

胃袋を掴まれたらやばいなと思っている



「雪音」

「はい?」

ご飯を作りながら楓くんが話しかける


「昨日の佐賀さ」



「は、い」

「調べてみたら、ちょっと精神的に不安定な人にありがちなメンタルヘルスってやつらしい」

メンタルヘルス…
それは

「いわゆる、メンヘラと呼ばれるやつですか?」

「うん。あいつ複雑な家庭事情だからあり得なくはないなって」

…ああ


「メンヘラとヤンデレの中間的な?」

ヤンデレって

「好意が肥大化して愛情表現が暴走することですか?」

「…うん」

好意…


「佐賀くんは、私のことが好きということですか?」

「…まぁ…おそらくね」




「もしかしたら、恋愛感情とはまた別の執着の一種かもしれないけど。どちらにせよ、佐賀の中で雪音の立ち位置は特別なところにあるんだと思う」

…なるほど

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